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東京高等裁判所 昭和57年(行コ)215号 判決 1985年6月26日

東京都港区赤坂三丁目九番一号

控訴人

紀陽物産株式会社

右代表者代表取締役

松田吉男

右訴訟代理人弁護士

大庭登

友光健七

小野寺利孝

川人博

東京都港区西麻布三丁目三番五号

被控訴人

麻布税務署長

市原正彦

右指定代理人

芝田俊文

萩野譲

青葉金郷

渋谷三男

主文

原判決を次のとおり変更する。

被控訴人が昭和四八年三月三〇日付でした控訴人の昭和四五年一〇月一日から昭和四六年九月三〇日までの事業年度分の法人税の更正並びに過少申告加算税の賦課決定のうち法人税額六五一万六、〇〇〇円並びに過少申告加算税額一四万七、九〇〇円を超える部分を取り消す。

控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は一、二審を通じてこれを七分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の各負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が昭和四八年三月三〇日付でした控訴人の昭和四五年一〇月一日から昭和四六年九月三〇日までの事業年度分の法人税の更正並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二、被控訴人

控訴棄却

第二、当事者双方の主張及び立証の関係は、左記のほかは原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。但し、原判決七丁表末行「貸家建付借家権割合」を「貸家建付借地権割合」と、同一〇丁裏一行目の「<1>ア」を「<1>ウ」と、一四丁表七行目「当初自白したが」を「争う。なお、仮に原告が当初これを自白したものとすれば、」と、同一五丁裏四行目「二、一六〇万円」と、同一九丁裏五行目から六行目の「を当初認めたが」を「は争う。なお、仮に原告が当初これを認めたものと解されるとすれば、」と、それぞれ訂正し、二一丁裏一行目の「原告」の前に「控訴人は当初被控訴人主張のラブラブとの賃貸借契約締結の日時を昭和四六年九月一日と自白していたのに後にこれを撤回したもので、」を加える。

一、被控訴人

1  控訴人は、仮に控訴人とラブラブとの貸室賃貸借契約の成立が昭和四六年九月一日であったとしても、家賃保証金については具体的取決めがなかったのであるから、保証金の一割相当額を本件事業年度に収益計上することはできない旨主張するが、賃貸借契約において、当事者間に支払われるべき賃料等の額が成立当時具体的に確定していなくても、相当な金額を支払うべき明示又は黙示の合意が認められ、その金額が客観的に算定可能である以上、契約成立時において右客観的な賃料、保証金等を支払うことを内容とする賃貸借が成立したものというべきである。

ところで、紀陽ビルの家賃、保証金等は、貸室の階数及び面積により一定の基準で自動的に算出されることになっており、賃貸借の衝にあたった関係者は、ラブラブにおいても右基準によって家賃、保証金等を支払うべきものと考えていたのであるから、仮に賃貸借の当初家賃保証金等の具体的金額について明示の合意がなかったとしても、少くとも紀陽ビルの貸室契約の一般的規定に従って算出される家賃、保証金を支払うべき旨の黙示の合意が遅くとも右貸室がラブラブに引渡された昭和四六年九月一日の時点において成立していたものというべきである。

2  控訴人は、当審において、新たに本件建物は権成洙から控訴人代表者松田吉男に譲渡担保として提供された旨主張するが、もしそうであれば、右建物の移転登記は辛貞淑から松田宛になされるべきであるのに、何故控訴人宛に経由されたのか、その合理的理由は明らかでないばかりか、右主張は、控訴人が従前原審で権成洙文は辛貞淑が東京商銀から融資をうける便宣上右建物の移転登記が控訴人宛に経由されたと主張していたのと矛盾するものというべきである。

二、控訴人

1  ラブラブの賃料、保証金が紀陽ビル貸室賃料、保証金基準に準拠した事実はない。紀陽ビルの価格表(乙第二九号証)自体、昭和四〇年に宣伝用に作成されたものであって、ラブラブに限らず、紀陽ビルの賃料は賃貸開始当初からこれに準拠せず、その時々の諸事情で決定されていたもので、ラブラブの賃料地下一階坪一万円(昭和四七年決定)は、右価格表の坪五、〇〇〇円より高額であるばかりか、昭和四六、七年当時の他の賃借人の場合と比較してみてもかなり高額であり、一定の基準に準拠したものということはできない。したがって、仮に昭和四六年九月一日当時に控訴人とラブラブとの間に賃貸借契約が成立していたとしても、その賃料、保証金等については何ら合意がされていないのであるから、当時、右賃料、保証金等について控訴人に確定した債権が発生したものということはできない。

2  本件物件は、控訴人が原審で主張したとおり権成洙に対し二、一八〇万円に及ぶ債権を有していた控訴人の代表者松田吉男個人が、第三者による本件物件の買い上げという局面の下で、権の借り増し要求に応じて右債権の譲渡担保として取得したものであって、便宜控訴人名義を利用したにすぎず、控訴人がこれらにつき何ら実体上の権利を取得したことはない。

三、当審における証拠の関係は、当審記録中の証拠目録記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

一、当裁判所は、原判決の認定判断のうち、控訴人とラブラブとの間に、昭和四六年九月一日紀陽ビル地下一階五九・一坪につき、貸室賃貸借契約が締結され、その関係で、本件事業年度中に控訴人に保証金償却分三五〇万円、前同月分の未収賃料月額五九万一、〇〇〇円の売上金及び未収賃料の各計上洩れがあり、これらは本件事業年度の益金に加算すべきであるとした点を除くその余の点については、すべてこれを相当と認めるのであって、原判決の当該理由部分(原判決理由一、二の1(一)、2及び3、三並びに四の1及び2の(二))を引用する。但し、原判決三四丁裏九行目の「ラブラブとは同年九月一日頃」、同末行の「ラブラブ分三五〇万円」とある部分はいずれも削除し、同三五丁表一行目の「四三〇万円」を「八〇万円」と訂正し、同三四丁裏七行目の次に、「また、当審証人小林洋子の証言とこれにより成立の認められる甲第二七号証、第二八号証の一ないし五によれば、紀陽ビル貸室賃貸借契約において、賃貸借期間満了前の解約の場合にも、保証金の五パーセントだけ償却した契約事例があったことが認められるが、右の事例は、本件係争事業年度以降の昭和五二年五月二〇日から昭和五四年五月一九日までの期間の賃貸借契約に係るものであって、保証金の償却に関する規定も本件当時の賃貸借の場合と異っており、控訴人と賃借人との間で、事後的に協議して五分償却と定めた特殊な事例であることが同時に認められるので、未だ前示認定判断を左右するに足りない。」を加入し、四〇丁裏五行目の「前記のとおり」を「同人の証言で認められるとおり本件登記後も」と改め、五〇丁表一行目より六行目までを削り同八行目「の証言及びこれ」を「同清水善一(第二回)の各証言及び神谷証言」と改め、同裏五行目「右神谷」を「東京国税不服審判所審査官清水善一」と改める。

なお、控訴人は当審で、新たに本件建物は権成洙が控訴人代表者松田に二、一八〇万円の債務を負担していたので、譲渡担保として同人に提供した旨主張するが、右は、権成洙(または辛貞淑)が訴外組合から融資を受けるために便宜本件登記を経由したという原審における控訴人の主張と矛盾するばかりでなく、本件で権の松田に対する右債務を確認するに足りる客観的証拠が存在しないことは引用の原判決の説示するとおりであり、また、松田個人に対する債務の担保として提供するのであれば、何故控訴人名義としたかについても、首肯するに足りる理由は示されていないのであるから、右主張は採用できず、前示認定を左右するに足りない。

以上の認定判断に反する当審証人小林洋子、同権成洙、同辛永叔の各証言は措信せず、他にこれを動かすに足りる証拠はない。

二、ラブラブ関係について

1  被控訴人は、控訴人は原審で昭和四六年九月一日、控訴人がラブラブとの間において紀陽ビル地下一階五九・一坪につき賃料、保証金等(以下賃料等という。)を含む賃貸借契約を締結したことを自白したとするのに対し、控訴人はこれを争い、仮りに控訴人がこの点を自白したとすれば、それは真実に反し、かつ錯誤に基づくものであるからこれを撤回する旨を主張し、被控訴人はこれに異議があるので先ず右自白の成否について判断する。

控訴人は、(1)昭和五一年六月九日付準備書面(一)の第一、二(一)で、「原告が昭和四六年九月一日に有限会社ラブラブと貸室賃貸借契約を締結したとの事実……は……否認する。」、同第一、六(一)で、「原告が有限会社ラブラブと昭和四六年九月一日から……貸室賃貸借契約をなして賃貸していたとの事実は全面的に否認する。」と述べていて、これを争う態度を明確にしている。もっとも、同書面の第一、二(四)、六(二)によれば、控訴人は、右契約は詐欺により取り消されている旨述べており、ややまぎらわしい点が存在するのも事実であるが、右の記載によっても、控訴人がラブラブとの契約内容を具体的に特定しつつこれを争わないとしたものではなく、また、被控訴人の主張に対し、明瞭な認否の形式をもって陳述したものでもないのであって、右詐欺による取消は、仮定的な抗弁として主張したものと解される余地もあり、いずれにしても、右の取消の主張があるからといって、これを根拠に、控訴人が右賃貸借契約を締結したとの事実をすべて争わないとしたものとはたやすく解しがたいところである。(2)また、昭和五一年七月二八日付準備書面(二)の一には、「昭和四六年九月一日締結に係る……ラブラブとの賃貸借契約」なる文言があり、同年一二月一五日付準備書面(三)の一には、「昭和四六年九月二五日に支払うべき賃料も全然支払いがなく」との文言があって、あたかも、これらは控訴人が右契約締結の事実を承認し、またこれを当然の前提として、その主張を展開しているものと受けとられるのであるが、右各記載は、いずれも控訴人の昭和五五年一一月一〇日付準備書面(九)の七(五)で、前者は「昭和四六年九月一日付契約書で締結した」という趣旨であり、後者の「昭和四六年九月二五日」とあるのは、「昭和四七年九月二五日」の誤記であるから、それぞれの旨訂正するとの申立があり、控訴人の右契約成立を抗争する従前からの態度に照らすと、右訂正申立もあながち排斥しがたいものがあり、そもそもこのように容易に訂正の可能性がある片言隻句をとらえて、法律上重要な効果の発生する裁判上の自白とみるのは相当でないというべきである。

以上のとおりであるから、控訴人とラブラブとの間に昭和四六年九月一日貸室賃貸借契約が締結された旨の被控訴人の主張につき、控訴人が自白したものとは認めがたく、したがって当事者間に裁判上の自白は成立しないものというべきである。

2  ラブラブが紀陽ビル地下一階五九・一坪を使用するに至った事実関係の経緯については、原判決二七丁表一〇行目以下二九丁表八行目までを引用する。但し、同二七丁裏二行目の「川島長治、同三上洋子」を「川島長治(原審及び当審)、同三上洋子(同、但し当審は小林洋子)」と訂正し、同二八丁表三行目の「有限会社ラブラブを設立し、」を削り、同五行目の「同年秋頃からクラブラブラブとして」を「同年一〇月二二日ラブラブを設立し、ラブラブとして同年一一月頃からクラブ「ラブラブ」の」と、同六行目の「ラブラブは右のように」を「右のように地下一階の使用は」と各訂正し、一〇行目の「開始したが」以下同裏三行目「支払もせず」までを「開始したもので、両者の間に賃料、保証金等については、具体的な話し合いや明確な取決めは存在せず、したがってまた、その支払いもされないまま経過するうちに」と改める。

そして、右認定事実によれば、昭和四六年九月一日付控訴人とラブラブとの間の賃貸借契約書は、一年後の昭和四七年九月一日に作成されたものであるから、これをもって右契約書表示の契約が本件事業年度内である昭和四六年九月一日に締結されたものということはできないし、他にこの点を認めるに足りる的確な証拠はない。却って前掲証人川島長治、同小林洋子の各証言と控訴人代表者本人の供述を総合すれば、本件事業年度内である昭和四六年九月頃、織田ら(或いは当時ラブラブが設立手続中であったとすれば、その設立手続中の会社)は、控訴人から前示紀陽ビル地下一階五九・一坪を使用することを認められてはいたものの、前示の如き控訴人との間の特殊な関係から、未だその使用の対価としての賃料等については、当時者間で約定されていなかったものと認められること前記のとおりである。

被控訴人は、紀陽ビルにおいては、貸室の賃料等の額は、その準備が使用階数に応じて坪単価が定められていて、ラブラブについても、この客観的に定められた基準に準拠した賃料等の額が明示又は黙示的に合意されていたものというべきであるから、遅くとも右貸室がラブラブに引渡された昭和四六年九月一日の時点で、賃料等の額は確定していた旨主張し、乙第二九号証を採用するが、右乙第二九号証、当審証人小林洋子の証言とこれにより成立の認められる甲第三〇ないし三五号証によれば、控訴人は昭和四〇年の設立当初乙第二九号証で各階数による賃料、保証金額の基準を定めたが、現実に結ばれた貸室賃貸借契約における賃料等の額が常に右基準に準拠してそのとおりに取決められていたというものではなく、縁故関係その他の事情により基準どおりでないものが多々存したことが認められるうえ、昭和四七年九月頃、右ラブラブについて定められた本件賃料等が、乙第二九号証やその他別に定められた客観的基準に準拠したと認めるに足りる証拠はない。原審証人松田繁、同三上洋子、同川島長治の各証言中には、恰も紀陽ビルにおける貸室賃貸借契約で基準に準拠して賃料等が決定されていたことを肯定するかの如き部分があるが、その供述全体の趣旨は、必ずしも常に基準どおりに定めていた事実を認めているものとは解しがたい。その他被控訴人主張のような黙示的な合意の事実を認めるべき証拠もない。また、被控訴人は、控訴人の如き不動産賃貸業を営む会社が、その業務用のビルの一室を、具体的な賃料額等を定めることなく一年間も第三者に使用されることはありえないとも主張するが、前認定のとおり、織田ら或いはラブラブは約一年間賃料等の支払いを控訴人にしていないし、前示ラブラブ設立に至る経緯や控訴人とラブラブ関係者との特殊な関係を考慮すれば、右事実があながちありうべかざる特異な事象とも認められない。そして、原審証人川島長治の証言によれば、松田が昭和四七年八月頃、事実上ラブラブの経営に関与していた川島を賃料等の支払をしていないとして叱責した点は認められるが、これとても、証人川島長治の当審証言に照らせば、賃料等の取決めもしないままラブラブによる使用がされている不都合を責め、早急にその是正を要求したものと解される。なお、成立に争いない甲第一七号証によれば、控訴人は、本件審査請求の段階で、昭和四六年九月一日の賃貸借契約の成立を認めていたものの如くであるが、以上の認定に徴し、賃料等の取決めがなされていたことまでも認める意味のものとは認められない。したがって被控訴人の主張はいずれも採用できない。

以上、要するに、昭和四六年九月一日頃、右貸室の賃料等が確定していたとみることは困難であるといわざるをえない。

3  そうすると、その余の点について判断するまでもなく、ラブラブ関係の賃料五九万一、〇〇〇円、保証金償却金三五〇万円が本件事業年度内において控訴人に確定した債権として成立帰属したものとは未だ認めるに足りないものというべく、これらを同年中の益金に加算することは許されないといわなければならない。

三、以上認定した事実及び争いのない事実を前提として法三七条、令七三条により寄付金の損金不算入額を計算し、所得金額を算出すると、控訴人の本件事業年度における所得金額は別紙一のとおり一、八四四万五、〇二九円となり、本件更正における所得金額二、二一〇万九、五九七円は右所得金額を三六六万四、五六八円上回ることとなる。

四、控訴人がさきに認定したとおり本件物件を取得しながら帳簿に記載せず簿外資産とし、その譲渡益についてこれを帳簿に計上せずその所得を除外して確定申告をしたことは弁論の全趣旨により明らかであるから、右行為は国税通則法六八条一項に規定する国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽し、その隠蔽したところに基づき納税申告書を提出した行為に該当するから、本件物件の譲渡益一、〇二六万〇、六二六円は重加算税の対象所得となる。その余の所得八一八万四、四〇三円については、これが申告の計算の基礎とされなかったことについて正当な理由があるとは認められないので、同法六五条により過少申告加算税の対象所得となる。

ところで、前掲甲第一七号証によれば、本件賦課決定における重加算税の基礎となる所得金額は九六八万〇、六九一円であり、過少申告加算税の基礎となる所得金額は、右認定による増加所得金額一、八四四万五、〇二九円から右金員を差し引いた八七六万四、三三八円であることが認められるので、これと対比すると、重加算税の対象金額は本件賦課決定によるものより多額であるが、本来過少申告加算税の対象となるべき所得金額は八一八万四、四〇三円で、前示認定による増加所得金額から本件賦課決定で重加算税の基礎となるとされた所得金額九六八万〇、六九一円を控除した八七六万四、三三八円より少額であることが認められる。

しかし、重加算税は過少申告加算税の賦課要件及び税率を加重したものであるから、本来重加算税を課すべきところを過少申告加算税を課しても、控訴人に対する関係で本件賦課決定を違法ならしめるものではないと解されるので(最高裁判所昭和五八年一〇月二七日判決民集三七巻八号一一九六頁参照)、本件では過少申告加算税対象所得金額は八七六万四、三三八円であるというべく、これによって法人税額と各加算税とを計算すると、別紙二のとおり法人税額六一五万六、〇〇〇円、過少申告加算税一四万七、九〇〇円、重加算税一〇六万七、一〇〇円(本件裁決後の更正額に同じ)となり、被控訴人がなした本件更正による法人税額と過少申告加算税の賦課は、いずれも右金額を超えることとなるので、右超過部分についてはこれを取り消すこととするが、その余の本訴訟請求は理由がないからこれを棄却すべきである。

五、よって、原判決は右の限度で一部変更することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条、九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中永司 裁判官 安部剛 裁判官 笹村將文)

別紙一

(1) 寄付金の損金不算入額の計算(法三七条、令七三条適用)

A 本件事業年度の所得の金額の計算(令七三条二項、三項の寄付金の損金算入限度額の計算上の所得金額)

<イ> 繰越欠損金控除前申告所得金額………四一、七九六、〇五七円

<ロ> 申告所得金額に加算する金額(寄付金の額を除いたもの)………一二、八〇二、三〇三円

内訳

売 上計上洩れ 八〇〇、〇〇〇円

建物借地権譲渡益計上洩れ 一〇、二六〇、六二六円

造作、備品、什器 〃 五五〇、〇〇〇円

貸付金利息 〃 五七〇、三三四円

旅費・交通費中損金とならないもの 四四八、〇〇〇円

未収賃料等計上洩れ 一七三、三四三円

合計 一二、八〇二、三〇三円

<ハ> 寄付金の額………四、六六六、六〇〇円

内訳

繁らに対する寄付金 三、三八一、四〇〇円

進栄建設に対する寄付金 一、二八五、二〇〇円

<ニ> 本件事業年度の所得の金額(<イ>+<ロ>+<ハ>)………五九、二六四、九六〇円

B 寄付金の損金算入限度額の計算

<ホ> 本件事業年度終了の時における資本等の金額

<省略>

<ヘ> 上記<ニ>の本件事業年度の所得の金額

<省略>

<ト> 寄付金の損金算入限度額{(<ホ>+<ヘ>)×1/2}………七七二、〇六二円

C 寄付金の損金不算入額(<ハ>-<ト>)………三、八九四、五三八円

(2) 所得金額の計算

四一、七九六、〇五七円+一二、八〇二、三〇三円+三、八九四、五三八円-四〇、〇四七、八六九円=一八、四四五、〇二九円

(<イ>の金額) (<ロ>の金額) (Cの金額) (繰越欠損金額)

別紙二、

税額計算

1 法人税額

(1) 所得金額 一八、四四五、〇二九円

年 三、〇〇〇、〇〇〇 三、〇〇〇、〇〇〇円……<1>

こえる分 一五、四四五、〇〇〇円……<2>

(2) 税額計算

<1>×二八% 相当額 八四〇、〇〇〇円……<3>

<2>×三六・七五% 相当額 五、六七六、〇三七円……<4>

法人税額(<3>+<4>) 六、五一六、〇三七円……<5>

(確定金額六、四一六、〇〇〇円)

2 加算税額

(1) 増差所得金額 一八、四四五、〇二九円

(重加算税対象所得 九、六八〇、六九一円

過少申告加算税対象所得 八、七六四、三三八円

(2) 過少申告加算税対象所得 八、七六四、三三八円

内訳

年三〇〇万相当額以下の金額 三、〇〇〇、〇〇〇円……<6>

〃 こえる金額 五、七六四、〇〇〇円……<7>

(3) 税額計算

<6>×二八% 相当額 八四〇、〇〇〇円……<8>

<7>×三六・七五% 相当額 二、一一八、二七〇円……<9>

過少申告加算税対象税額(<8>+<9>) 二、九五八、二七〇円……<10>

過少申告加算税(<10>×5%相当額) 二、九五八、〇〇〇円×五%=一四七、九〇〇円

(4) 重加算税額

重加算税対象税額(<5>-<10>) 三、五五七、七六七円……<11>

重加算税額(<11>×三〇%) 三、五五七、〇〇〇円×三〇%=一、〇六七、一〇〇円

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